私は、朝鮮半島の報道と情報収集に、およそ三〇年間携わってきた。その体験の中で、韓国人の友人記者のアドバイスを今も忘れることができない。私は、朴大統領暗殺直後の一九七九年十二月に、ソウル特派員として赴任した。その時に、韓国人の先輩記者の一人に「ソウルで流れる情報の三分の二は、意図的な嘘情報がほとんどだ。記事にするときは、当事者を含め必ず三ヶ所に確認するように」と、言われた。
朝鮮半島をめぐる情報には、今なお虚偽の情報が少なくない。多くの専門家が、北朝鮮は早期に崩壊するとの判断や情報を語ったが、いまなお崩壊していない。なぜ、こうした誤った判断や情報が横行するのか。南北の対立に加え、韓国内の政治対立から虚偽の情報やうわさを意図的に流す人物や集団が存在するからである。だから、韓国と北朝鮮に関する情報や報道から、本当の事実と虚偽の記事を見分けるには、相当の経験と判断力を要するのである。期待と事実の区別がつかないのである。また、単なる予測と分析の違いがわかっていないからである。
『THE DAILY KOREA NEWS』は、韓国や北朝鮮に関する情報が極めて限られた時代に、日本語によるサービスを始めた。多くの日本人や企業に、日本のメディアでは入手できない情報を提供し続けた。その歴史的意義は、高く評価されるべきであろう。不正確な情報や感情的な主張、誤った判断が日韓の政治・外交関係を悪化させ、「嫌韓」「厭韓」といった言葉も生まれた。
隣国を理解するには、韓国人への尊敬が不可欠である。さらに、経済と政治、社会、文化、歴史に関する総合的な情報と知識が必要である。政治や社会動向だけでは、正確な判断は下せない。経済も、政治と社会の変化、それに国際社会の動きを如実に反映しているのである。こうした総合的な判断を下すためには、韓国についての総合的な情報の入手が欠かせないのである。
『THE DAILY KOREA NEWS』の3000号に及ぶ継続は、日韓関係の中で記録されるべき歴史的貢献である。正確な情報の伝達は、多くの誤解を解消した。また、韓国について判断する材料の提供が、多くの偏見を解消した。私は、韓国を韓国人以上に知っていると自称する日本人に、誤解と偏見を感じたことも少なくなかった。外国と他人の文化は、いくら逆立ちしても日本人には気が付かず、理解できない部分も少なくないのである。日本人と韓国人がより謙虚な気持ちを持ち、お互いに尊敬しあえる関係を築くために『THE DAILYKOREA NEWS』の一層の活躍と発展が期待される。【了】